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西村寿行『峠に棲む鬼』が面白いこと

本屋に行くとなんだか単行本サイズの西村寿行のソフトカバーが2冊も出ている。出版元は文芸社(ってなんだ?)。とりあえず分厚い方(夢枕獏が、西村寿行『鬼』に衝撃を受けたとか登場人物の名前に影響受けたとか本編とは関係ない「解説」を書いている)を買って帰って読み始めたらこれが面白い、止まんない、読み終えたら4時、眠っ。

お話は寿行の黄金パターン、つまり、謎の敵に襲われて戦う → 捕まって陵辱とか拷問 → 逃げて反撃 → また捕まって陵辱 → また逃げて反撃 → また捕まって…もうええわ! アホか! というアレですが、舞台が海をまたいで転々と変わるとか、主人公が女性で杖術の達人(でも捕まる)というあたりが寿行的にはちょい工夫されてて快調に読めました。西尾維新の『ネコソギラジカル』に満足できないおれのような人は西村寿行を読めばいいのんよ。ああそうか、敵に捕まらないんだな西尾維新は。

というか面白いけどね『ネコソギ』。というか面白かったような気がするけどね。というか覚えてるのは「上巻から読み直したほうがいいですよ」ということだけですけどね、中巻が出たからって中巻だけ読むんじゃなくて、マンガみたく、前の巻からイチイチ読み直すのがいいと思った。マンガといえば『デスノート』の新刊も読んだ読んだ。面白かったけどね。やっぱりあんまり長いと刺激に慣れちゃうというものかなあ。

慣れるといえば西村寿行の陵辱シーンも刺激を受けないですねえ。毎回いっしょなんだもの。またやってるよっていう。そんで、あのパターンって毎度暴力で屈服させてるように思っちゃうけど(地の文でもそう言ってるけど)、本質は暴力だけじゃないよな。敵役は毎回「理性的に判断すると屈服せざるを得ない」シチュエーションを注意深く作ってるよ。自殺すると身内や恋人に同じ被害が及ぶとか、今コイツを殺すと黒幕が逃げちゃうとか。そういう言い訳作りを丁寧にしてあげておいて性の地獄へ落とすという、あ、団鬼六の手だなこれは。

そうして嫌な男に気をやらされて女は菩薩になるというのが平岡正明の団鬼六論だった気がするが、西村寿行はそれとは違って、どうもこの人にとっては性交も肉体的な「闘い」「勝負」なのだろうと思う。


西村寿行は基本的に人間が嫌いなのではないか。少なくとも都会に住むホワイトカラーのことは嫌いだろう。この人が好きなのは「自然」であり「動物」であって、その迫力ある描写には定評がある。だから「動物としての人間」や「人間の動物的な面」や「狂気」については迫力あるいは愛情をもって丹念に描く人だし、だから肉体的なリアリティを置き去りにするような描写や筋立てをすることもないのだけれど、人間が本能的な欲望を大きく越える欲望(巨大な権力・金銭欲やら歪んだ性欲やら)を暴走させ始めると、この人の筆はいつもそれをひたすら醜悪なものとして描くよね。

「だってそれは醜悪ではないか」「だってホラ、こうなっちゃうってことだぜ」と西村寿行はいつも作品を通して言っているように、その描写の刺激に慣れっこになったおれには思えて、おれはそう読んで「そうだな」といつも思う。そういったシーンが毎度おなじみに過激ではあるもんだから「この人はきっとこれが好きなんだろう」とまるでSM作家のように西村寿行はファンからも思われていると思うのだが、つまるところそれは、高度成長時代においては社会批判でもあったのかもしれないと思うんだよね。

西村寿行の描く陵辱シーンの醜悪さと倒錯的な快楽とはつまり、金儲けは・好景気は・国土開発は、たまんねーぐらい超快感だぜ! だけどそれは田舎の人間から毟ることだったり自然破壊だったり、客観的には見られたもんじゃないぐらい醜いぜ、とどっかで(読者の無意識とかに)訴えていたのでその結果、広く読まれたということだったのかもしれないねとかね。


西村寿行の作品にはいつも不機嫌で不穏で不安な空気が漂っている。要所要所で溜まりきったストレスを発散するべく炸裂するアクションも、基調は常に暗く重苦しいので残念ながらカタルシスにはなりえない。主人公が暴れたら暴れたで気分は沈むという、なんつうか「男の不機嫌」というか不幸みたいなことを延々と力一杯描いて特異な作家なんではないかな西村寿行は。だから今でも全然読めるんだと思うんだけど。







●「文芸社」は「たま出版」の子会社で主に自費出版をやっているそうな。
 http://khon.at.infoseek.co.jp/shuppan/bungei.html




(後日注:061030)

1年前の記事にリンクもらったので逆リンクだ。

●NTR BLOG | 峠に棲む鬼
  http://deprogram.main.jp/sb/log/eid133.html


自分の記事を読み返してて思い出したトピック。

筒井康隆さんか誰かが書いてらしたんだけど、ショートショートの名手にして日本SF界の重鎮だった故・星新一さんが西村寿行を愛読されていたそうだ。星さんいわく「西村寿行の小説を読むと、論理的なので頭がスッキリする」なんだったそうな。

うーむ言葉の意味はよくわからんが何だかすごい発言だ。




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